2024年12月28日に令和6年度版 学校基本調査が文部科学省より発表されました。
その内容は以下の通りです。
1、増加している理容科、美容科の入学者数
<入学者数>
専修学校(専門課程、高等課程、一般課程)の入学者数は、理容科1,102人(前年度比+ 9.1%)、美容科2万0,367人(同+ 1.1%)で、両科とも増加しました。
入学者のうち大半を占める2年制の専門課程は理容科1,069人(同+11.8%)、美容科1万9,545人(同+1.0%)で、理容科は5年連続、美容科は6年連続で増加しました。両科とも増加傾向が継続していますが、両科の比率は「美容科95:理容科5」で、理容科が圧倒的に少なくなっています。
<男女別入学者数>
理容科は男子738人・女子364人(比率は男子67対女子33)、美容科は男子4,348人・女子1万6,019人(同男子21対女子79)でした。両科とも前年比の男子入学者が増加し男子の比率を上げています。
一方、令和6年度の卒業者数をみてみましょう。
<卒業者数>
理容科834人(男子514人・女子320人)、美容科1万6,992人(男子3,193人・女子1万3,769人)だった。卒業生の大半は修学分野へ就職しているが、他分野への就職者は理容科199人(14.3%)、美容科1,488人(8.8%)いるとされています。
また、令和6年度卒業生が入学した令和4年度時から、理容科は138人(14.1%)、美容科は3,114人(15.5%)が中途退学した計算になっています。
2、専門課程 分野別入学者数ランキング
分野別の入学者数ランキングを紹介します。これを見ると若者の美容人気がわかると思います。同じく、令和6年度「学校基本調査」によると今年も専門課程入学者数は美容科が看護科に次いで2位でした。近年この両科が人気分野の双璧として君臨し若者の美容人気が続いていると言われています。理容科は入学者数が増えているとはいえ、美容科とは随分かけ離れているのが現状です。
<専門課程 分野別入学者数ランキング>
順位 : 分野 : 入学者数
1 : 看護 : 23,946
2 : 美容 : 19,545
3 : 情報処理 : 15,089
4 : デザイン : 10,540
5 : 動物 : 8,931
6 : 自動車整備 : 8,831
7 : 理学・作業療法 : 8,160
8 : 調理 : 7,612
9 : 旅行 : 7,468
10 : 商業 : 6,964
11 : 法律行政 : 6,888
12 : 歯科衛生 : 6,632
13 : ビジネス : 6,155
14 : 情報 : 6,096
15 : 製菓・製パン : 5,887
16 : 土木・建築 : 5,803
17 : 音楽 : 5,691
18 : 介護福祉 : 5,323
19 : 保育士養成 : 5,050
20 : 和洋裁 : 5,005
21 : 経理・簿記 : 4,391
22 : スポーツ : 4,341
23 : 外国語 : 3,778
24 : はり・きゅう・あんま : 3,320
25 : 柔道整復 : 3,115
26 : 経営 : 2,886
27 : 美術 : 2,529
28 : 演劇・映画 : 2,388
29 : 栄養 : 1,891
30 : 教員養成 : 1,817
31 : 電子計算機 : 1,557
32 : 農業 : 1,384
33 : 通訳・ガイド : 1,318
34 : 社会福祉 : 1,283
35 : ファッションビジネス : 1,234
36 : 理容 : 1,069
37 : 電気・電子 : 1,025
38 : 診療放射線 : 904
39 : 歯科技工 : 770
40 : 臨床検査 : 722
41 : 写真 : 487
42 : 測量 : 388
43 : 園芸 : 321
44 : 機械 : 290
45 : 無線・通信 : 257
46 : 秘書 : 142
47 : 家庭 : 88
48 : 家政 : 25
49 : 茶華道 : 4
50 : 料理 : 2
51 : 編物・手芸 : 2
合計:25万5391人
※合計には「その他の分野」(8領域)を含む。ただしランキングからは除かれています。
3、中卒者らを対象にした高等課程でも人気
また、美容科の人気は中卒者らを対象にした高等課程でも高く、788人(男子118人、女子670人)が入学しました。高等課程の分野別ランキングは准看護科(2271人)、商業科(1814人)、調理科(1316人)などに次いで4位とやはり上位に入っています。
4、2022年以降続く人気
上記の調査発表から近年、美容人気が続いていると言われています。(2022年から増加傾向)それに伴い美容分野に参入する医療系、ビジネス系の専門学校は少なくありません。原因については、おしゃれな中高校生が増えた事、SNSと美容系は相性がよく、SNSで美容に触れる時間が増えた事、美容師はじめ、美容に関連するインフルエンサーの発信力が増した事、不景気で会社に就職するよりも好きな事を仕事にした方が良いと考える若者が増えた事、などがあげられるのではないでしょうか?
しかし、卒業者数の項目で紹介したように他分野への就職者が理容科14.3%、美容科8.8%いるとの事。また退学者もそれぞれ14.1%、15.5%いるとの事です。
そう考えると何らかの対策を講じる事でまだ増やす事はできそうです。
いずれにしても今後人口減少、少子高齢化が進むため、今の状況に甘える事なく理美容業界全体で人気維持に取り組んでいきたいと思います。
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